健康情報

運動のすすめ(脊椎ストレッチウォーキング)

正しい歩き方(3つのポイント)

「毎日歩こう 背筋を伸ばして 今のあなたに もう1,000歩」

「脊椎ストレッチウォーキング」の3つのポイントはそれぞれ大切ですが、何よりもその順番が大切です。必ずポイント1、ポイント2、ポイント3の順番に意識してください。
「脊椎ストレッチウォーキング」の考え方の中で最も大切なことは正しい姿勢(フォーム)で歩けるという結果ではなく、正しい姿勢で歩こうとする姿勢(態度)です。人生40年、50年、60年となればなるほど強く重力の影響を受け、身体に歪を生じやすくなります。人生70年、80年、90年、100 年・・・と地球と戦い続けるために常日頃から意識しておかなければならない大切なポイントです。

3つのポイント
それでは3つのポイントと順番の根拠をもう少し具体的に解説します。

Point 1 下腹を下から持ち上げるように引き締める

体の歪み

 重力に対して生活を続けていると姿勢バランスが乱れやすくなることは「脊椎ストレッチウォーキング」の最初のページでも説明しましたが、バランスの乱れは単に前後だけではなく、図1のように前後左右に加えて、捻じれもあり、それぞれが複雑に絡み合っています。しかしよく「足の長さが違う」とか、「腰が歪んでいる」とかいいますが、過度の障害がない限り、ヒトの立ったときの両足の位置はほとんど同じで左右の目の位置は地面に対して水平に保たれています。つまり、中は歪んでいても末端は帳尻をあわせています。ですから、手や足、頭などの末端または末端に近い部位を動かしてバランス回復を図ろうとしてもなかなかうまくはいきません。



 ゆえに、まずは身体の中心または中心に近い場所のバランスを整える必要があります。近年コア・ストレッチやコア・トレーニングという言葉がよく使われますがその根拠はここにあります。
 身体の中心であるコアすなわち腰椎、骨盤の位置を整え、重心を意識することが身体のゆがみを整える第一歩です。もう少し具体的にいうならば慢性の腰痛の原因となる骨盤の前湾を押さえ、歩いているときの歩幅、つま先の高さを調節する大腰筋の位置を整えることです。
 では、骨盤の前湾を押さえ大腰筋の位置を整えるにはどこの筋肉をどのように刺激すればよいのでしょうか?

大腰筋とその役割

腹の筋肉

 脊椎に平行(縦)についている腹直筋は、へそのぞきや上体おこしなどの縦の動きの運動で刺激することはできますが、直接骨盤の前湾を押さえ大腰筋の位置を整える運動にはなりません。直接骨盤の前湾を押さえ大腰筋の位置を整えるには腹を横に締める運動が必要になります。この動きをする筋肉は身体の中にあり動く範囲も狭く、僅かで大変意識しにくい筋肉です。これが腹横筋と呼ばれる筋肉です。横についている腹横筋は横に動かさないと刺激することはできません。しかし単に腹を出したり、引っ込めたりするだけでは重力に対して下に引っぱられている分不十分です。ですから腹を締めるという動きに加えて、下から持ち上げるような意識、すなわち図3の赤で囲った部位の筋肉を意識することが大切です。



 長くなりましたが、大腰筋と腹横筋を誰でも、手軽に効率よく刺激できる唯一の運動が「下腹を下から持ち上げるように引き締める」ことです。

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Point 2 頭頂部をひもで引き上げられるように背筋をしっかり伸ばし、軽く胸を張る。

 次に、コア(中心)から末端に意識を伸ばしていきます。下腹を下から持ち上げるように引き締めた意識をそのまま腰椎、胸椎、頸椎を通って頭頂部をひもで引き上げられるように意識して強化していきます。このことにより、図4のように前かがみの多い日常生活により前に出ていた頭の位置を重心に対して真上に乗るように整え、首、肩の筋肉の緊張を軽減し、肩こりや偏頭痛を予防、改善します。さらに、「軽く胸を張る」意識を加えることによりその姿勢を強化します。ただ、決して強く胸を張る必要ありません。強く意識しすぎると最も大切なPoint1の姿勢が乱れ腰椎が前に押し出されてしまいます。また、よく「軽くあごを引く」といった表現が用いられている場合がありますが、これは気道を狭くする恐れがあり、あまり適切な意識のポイントとはいえない面があります。

悪い姿勢と良い姿勢

股関節の構造

 Point1、Point2は上半身の骨盤、腰椎、胸椎、頸椎のバランスを整える意識のポイントですが、同時にこのことにより重心が引き上げられ、自然に内転筋(膝を内側に回しながら締める筋肉)を刺激し、図5のように、膝、足首を正しい位置におき膝関節障害の予防改善にも効果があります。内転筋のトレーニング方法は数多く紹介されていますが最終的にはこの上への意識がなければ効率よく効果を引き出すことは出来ません。勿論、腰痛予防、肩こり予防も同様に上への意識がなければ効果は望めません。

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Point 3 膝を軽く伸ばし、足先を引き上げ、踵から着地し、着地した踵の上にすばやく腰を乗せていく。

股関節の構造

 Point1、Point2で動きの自由度の高くなった脚の動きの意識のポイントです。本来膝関節内に最も負担のかからない膝の位置は伸ばした状態です。大腿四頭筋(太もも)の筋力が低下すると膝関節は伸びにくくなります。これを予防するためにまず膝を伸ばすことを意識します。ただ、強く意識しすぎると後ろから前に足を運ぶ反動で、膝蓋骨(お皿の骨)が中に入りすぎて反対に膝を痛めることがあるので「軽く伸ばし」です。続いて転倒への直接の原因となるつまずきを予防するため、足先を引き上げる(足首を背屈させる)前脛骨筋を意識します。前脛骨筋は、足先を押し下げる(足首を底屈させる)ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋に拮抗して働く筋肉で、非常に動きの悪くなりやすい筋肉です。

 続いて着地ですが、膝を軽く伸ばし、足先を引き上げることができれば自然に踵から着地しますが、着地位置が重心に対して前過ぎるとブレーキがかかり、膝、股関節への負担が増大してしまいます。そこで最後に図7のように「着地した踵の上にすばやく腰を乗せていく」です。


 最近よくマラソンの正しいフォームの解説時などに「腰高で走る」という表現がありますが、同様で重心を引き上げて、踵の着地位置を手前にすることによりブレーキのかからない効率のよい足の動きになります。
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Pointの追加

股関節の構造

 脊椎ストレッチウォーキングのポイントは以上の3つですが、もう一点最後に加えるとすれば「踵から着地し、着地した踵の上にすばやく腰を乗せた」あとの足抜けのポイントです。「靴の中で足指を広げるように意識しながら親指の付け根(母指球)に体重を移動させる」です。親指の付け根への足抜けを意識することにより、小指側に体重が移動することによる、あおり動作を押さえます。あおり動作を繰り返していると、着地時の外側への加重が強くなり、膝は外に押し出され、足首の背屈動作が制限され、整形外科的障害へのリスクが高くなります。
 よく、「蹴る」という表現が使われていることがありますが、これは意識のポイントとしてはあまり好ましくありません。着地から、足が離れるまでの間膝を伸ばすことを意識していれば自然に足首は使われ、足を前に運ぶ際に適度なリラックスを得ることが出来、安全で効率のよい動きになります。
 ここではあまり詳しくは触れませんが、足指を開く動きと足先を引き上げる(足首を背屈させる)動きと膝を伸ばす運動は非常に密接に連動しています。足指を開く運動は健康づくりにとって非常に大切な運動のひとつです。


 「靴の中で足指を広げるように意識しながら親指の付け根(母指球)に体重を移動させる」は、足首の背屈の動きの自由度を高め、転倒を予防し、足首、膝、大腿骨付け根のアライメントを正しい位置に保ちます。
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Pointのまとめ

 いかがでしょうか。これらのPointにより足首、膝、股関節、腰、首などに負担のかかりにくい効率のよい歩行姿勢が完成します。効率がよいということは単に物理的には同じ距離を歩いた場合のエネルギー消費量は減ります。しかし実際には、大筋郡の筋肉量の低下を防ぐことにより基礎代謝量の低下を防ぎ、日常生活全体が活動的になることにより、全体のエネルギー消費量も増します。
 このページの最初にも書きましたが、「脊椎ストレッチウォーキング」の考え方の中で最も大切なことは正しい姿勢(フォーム)で歩けるという結果ではなく、3つのポイントを3つの順番に意識して、正しい姿勢で歩こうとする姿勢(態度)です。
(亀澤)
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